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MI,IIK in BALI

制作やバリ島のことなど色々

駆け落ち婚という慣習

バリ島

今日は、スタッフと共にウブドに行って来ました。田んぼの景色が気持ちいい日本食屋「影武者」で、美味しい料理を楽しみながら、面白い話を聞きました。

当店のスタッフでモデルもときどきお願いしている姪っ子は現在18歳で、1歳になる娘がいます。結婚した当時は16歳か17歳です。一緒に暮らしていたので、彼女のことは小さな頃から知っていますが、結婚当時の流れがよくわかっていなかったので、訊いてみました。

彼女は美人でスタイルもよく、バリ舞踊の才能があったので、芸術系の高校に進みました。学年一番の成績で、将来も有望。家族はこの娘が、若くして妊娠しないように、何度も何度も彼氏が出来たら、気をつけるようにと言っていました。でも、少し年上のハンサムな彼氏と付き合ったら、すぐ妊娠してしまったんですね。そこで彼女は焦りに焦ります。あれだけ注意されていたのだから、家族は絶対怒るに決まっている。

彼氏と「産めない」「産んで欲しい」というやり取りを繰り返します。彼氏のほうは早く結婚したいのです。彼氏が粘りに粘り、堕胎はさせてもらえません。彼女もまだ学生で家族に相談しない限り、そんなお金もありません。彼氏の親は結婚に大賛成です。彼女も産みたくないから悩んでいる訳ではないので、家族に秘密にしたまま、ずるずると数ヶ月過ぎて行きます。そして、とうとうお腹も膨らんできて結婚の決意をしたのでしょう。駆け落ち婚の計画が始まります。

駆け落ち婚の慣習は地方によって差があるかと思いますが、こんな流れでした。

まず彼氏と彼の親と彼女で、彼女を連れ去る予定を立てます。計画的に誘拐するのです。彼氏の友人が彼女を迎えに来ます。彼女は何も持たずに何気なく家を出ます。その後、その友人の家で身を隠します(彼女を盗んだのは彼氏ではないのです。納得の上でも彼女の親としては受け止め方が違います)。それが成功すると、今度は彼氏の家に連れて行かれ、彼のお母さんが家の前にお供え物を用意して待っています。そこで家に入る儀式をして門をくぐります。

彼女をかくまった後、彼氏の親族が家にやって来て、駆け落ち婚の報告をするのです。民族衣装を着た相手の家族と大人同士の落ち着いた話し合いの後、父親が彼女に「駆け落ちしなくても結婚していいよ」と伝言して、我家の場合は一件落着でした。
唐突に大事な娘の妊娠と駆け落ちを知らされた親としては、内心抱えるものは相当のものだと思いますが、なにしろ本人に会えないので、感情を爆発させる機会がありません。こうゆう話し合いの時、バリ人は親族一番の人格者をメッセンジャーとして使わしますので、話もスムーズに進んでしまったりするのです。バリ人の穏やかな話の進ませ方は、いつも感心してしまいます。

こうして、双方同意となったので、その後、正式な儀式をして彼女は結婚いたしました。皆が心に抱えたことは、数百人集まる儀式の合間の、もの凄いおしゃべりで解消されているように見えます。

駆け落ち婚の慣習は親に結婚を伝えられない女性にとって、最高の逃げ道だなぁと感心しました。彼氏側の親が反対した場合はなかなか上手く行かないようですが、この慣習のお陰で彼女のように救われる人もいるのだと思います。
私も結婚の報告は親の反応が怖くて(妊娠してたから)、最初は妹に話したのです。自分が親になった今は、なんだかそんな心配が可笑しいですが、当時は妹に話すだけでもすごくドキドキしました。母親の伝言が「妊娠したら結婚すると思っていたけど、けっこう早かったね」だったので、本当ホッとしたものです(笑)。こうゆうドキドキの告白をしなければならない時に、私のほうにも駆け落ち婚の慣習があったら、どんなに気が楽だったか、、、なんて思いました。